遠浅

平野明

雪花

6時半起き。カーテンを開けたら雪が降っていて、いそいで着替えて散歩に出る。まだ薄暗い路地、どこかからベーコンの焼ける匂い、見るものすべてを雪花が包みこんで、世界がゆっくりになる。何やらとってもホーリーな気持ち。夕方までカフェでバイト。夜、あたらしい美容室で髪をオレンジ色にしてもらう。瞳の奥に、たくさんの言葉と海の景色を湛えたような大人。寝る前、青森の友人と電話をする。吹雪の中を歩いているらしく、電話越しのぴよぴよ信号の音で、一瞬昔に引き戻される。