遠浅

平野明

本と生活

今年は人生の中で1番読書した年だった。121冊読んだ。その中から、特にこれは思い出深い、好き中の好きという本を取り上げてみる。

199.hatenablog.jp

〈フランス文学〉
ボヴァリー夫人ギュスターヴ・フローベール/伊吹武彦訳
シェリコレット/工藤庸子訳

〈土のにおい〉
パレスチナへ帰る/エドワード・サイード四方田犬彦
・夜になるまえに/レイナルド・アレナス安藤哲行
・李良枝全集
・洟をたらした神/吉野せい
・丘に向かってひとは並ぶ/富岡多恵子
・紫のふるえ/アリス・ウォーカー/柳澤由実子訳

〈女のはなし〉
・裏ヴァージョン/松浦理英子
・当世凡人伝/富岡多恵子
・3人の女/ガートルード・スタイン富岡多恵子

〈エンタメ〉
・日曜日たち/吉田修一
・愛のごとく/山川方夫新潮文庫
対岸の彼女角田光代
・最愛の子ども/松浦理英子
松本清張傑作短編コレクション/宮部みゆき責任編集

わたしはフランス文学が好き。作者のナマっぽいところ、故郷や地方や口語や労働のにおいがたちのぼってくる文章が好き。シスターフッドが好き。女同士の関係の発明が好き。仕掛けのある部屋に入った楽しさのような、読者にひたすらページをめくらせる職人的な構成の本も好き。そういう自分のツボは読書を続けるなかで教えられた。

これまでなにかの手段としてしか読書してこなかった。戯曲を書くための、資料としての、気晴らしのための。それがだんだん読むことが目的になっていった。言葉を言葉の世界から引きずり出さずに関わることが言葉に対してできる最大の尊敬であり、もし自分に努力しなければいけないことがあるなら手段という誘惑に負けないことだろう。一方でいま、いつなくなるともしれない貴重な時間を送っているとも感じる。読書を中心とした生活を送れているのは、居住環境と同居人の奇跡的な組み合わせで成り立っているおかげだから、ここで改めて感謝したい。
まだまだ読書1年生だ。来年もはりきって読みまくりたい。よいお年を。

今週のお題「2024こんな年だった・2025こんな年にしたい」