家にすのこが届く。これをベランダに敷き詰めて足元を心地よくしたい。狭いベランダだけど椅子なんか置いて。パラソルなんか立てちゃって。色付きの影の中で七輪とか燻製とかバーベキューとかしたい。夢はふくふく膨らむ。
4枚のすのこに防腐剤を塗っていく。汚れちゃまずいから上着を脱いでタンクトップ一枚で刷毛を手に取る。缶の底から防腐剤を混ぜても水っぽくシャバシャバで塗ったそばから液体が腕を伝う。風に当てて乾かしている間林芙美子の「女の日記」の続きを読む。
日記の書き手である23歳の伊乃は仕事を求めて京都の友だちを訪ねる。(ここまでは昨日読んだ。)伊乃はある屋敷へ女中奉公に入るのだが主人が嫌で東京へ逃げる。新しく仕事を見つけるも屋敷の主人の子をみごもっていることが発覚。うろたえている間に子は流れてしまう。友だち以上恋人未満のような男どもに振り回され、男はもう懲り懲りと思っても、京都からの大事な盟友は死に、別の友だちは結婚し、東京で新しい友だちができるでもなし、疲れて孤独な伊乃は毎日泣いてばかりいる……。
開くまで気づかなかったが書き込みのある古本だった。前の持ち主が鉛筆で引いた線があまりにマト外れでよっぽど消そうと思ったが後半につれて上手になるので付き合っていた。鉛筆の跡がしばらく見えないと、アレっ読むのやめちゃったのかなと思い、ぺらぺらと続けて繰っていると懐かしい痕跡が文字と文字のすきまから湧いて出てくる。そうだよね途中で読みやめるなんてできないよね。書き込みは解説にまで続いていて、わたしは見知らぬひとと共にこの本を読み切ったのだった。それにしても林芙美子は面白い。林芙美子の「放浪記」、ミルボーの「女の日記」は必ず読まなければいけない。
↓そうそう。感想漁ってたら見つけた。この方の林芙美子論すばらしいから見て。俺たちには林芙美子がいる!
夕方、洗濯物を取り込み、いそいで自転車を走らせて隣町の映画館へ。「音楽」を見る。泣いた。鉛筆画みたいなタッチがいい。坂本慎太郎のライブ行きたい。面白かった。
夜は手羽中の唐揚げ。白米を炊く代わりに焼酎を飲んだ。