遠浅

平野明

ツバメの遊び(6月7日の日記)

行ったことのない公園へ出かけた。週末で駅前は大変な混みようだったけれど、ちょっと不便なところにある緑地公園では人の声がしなかった。

青葉がざーっと波打ち、反射した光で森は内側から明るく、にーにー、けっきょう、きゃっきゃっ、鳥の声が、いつまでも天から降り注いでいた。お食事中の台湾リスはわたしを見つけると、とろろのように幹に沿って流れ、枝から枝へ大ジャンプして消えていった。

 

森には大きなため池があって、覗き込むとミドリガメとスッポンが泳いでいた。

水面で遊んでいるのは4匹のツバメで、自分の体を水切り石みたいにして鋭く水を切りつけてはフワリと浮かび、また水に映る自分の影へと突進していった。ツバメたちはじゃれあいながら池の上を移動していって、はっと思い出してカメラを構えたときにはもうお澄まし顔で電線に止まっていた。見とれていたのだ。

知らない景色の中を、ひとりでぽくぽく散歩することのなんと楽しいことか。ひとと歩きたくてたまらない時もあるけれど、根が放浪人なのでこうしてひとりで地面に立ってる方がわたしらしい。だけど、きれいなシロツメクサの群生を見つけたとき、はやく帰りたい、帰ってパートナーに今日の素晴らしい公園のことを伝えたいと思ったのも、またわたしの本音である。