遠浅

平野明

スペイン民話集(6月19日)

毎日日記を書くってたいへんだ。あのね、1日って24時間しかないの。日記を1時間で書くでしょ、7時間寝て、ボーッとする時間が3時間はあるでしょ、意識がハッキリしてるのはたったの12時間。日記って24時間に1回書くわけじゃないの、本人は12時間に1回書いてる気持ちなの。アーア。日記って何? 毎日毎日ドラマティックなことがあるわけじゃなし、こんな日記、何になるのかな。

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執筆の日。取材記事を書く。なかなか文章の流れがつかめなくて、書くのも読み直すのも苦しく、3時間で終わらせる予定が5時間もかかった。

気づけば16時。買い物へ出る。薬局で生活のための消耗品を買い替えた。歯ブラシとかメンソレータムのリップクリームとか。欲しいものが見つからなくて、薬局の蛍光灯の下をウロウロ歩く時間が人生で13番目ぐらいに嫌だ。

スペイン民話集を読む。

話が短い、ギャグに走る、悪魔が登場する、動物の話が多い、イエス・マリア・ヨハネの3人の名前がベタに出てくる、窮地に追い込まれたらお尻の肉を切り取る、それがスペイン民話。手紙の改ざんも多くて「王妃さまに3人の子供が生まれました」のような大事な手紙が悪魔によって「王妃さまに3匹の子犬が生まれました」と書き換えられたりする。

動物ってなると、クマ、オオカミ、キツネ、ヒツジあたりがひんぱんに登場する。オオカミとキツネの組み合わせは、いわゆる日本のタヌキとキツネで、オオカミはドジでかわいそうな役回り、キツネはずる賢くてちょっと神聖までもある。日本ではオオカミっていったら一匹狼って言葉もあるぐらいにステキでクール(?)な印象なのに、スペインのオオカミは頭カラッポで可哀想。昔のヨーロッパの産業って農作より牧畜って感じだから、ヒツジを襲うオオカミは嫌われてたとか理由があるんだろうな。ちなみに猫と犬はオオカミとキツネより位の高いものとして描かれてるのが面白い。

ところどころイタリア民話とかぶる話(例えば「塩みたいに好き」とか)もあった。国は隣り合ってないけれど、同じ海に面してるから伝わったのかな。南ヨーロッパ全体で共有している民話があるとか? 

まあまあ楽しめた民話集だった。お気に入りになったのは「熊のフアニート」「手のない娘」。これは絶品。

さぼっていた読書記録を更新した。先月は忙しくて記録するほどの読書をしていない。