遠浅

平野明

4時起き。日の出前に家出る。誰もいない商店街。自転車のハンドルを握る手がそのまま凍りそうって思ったら雪。7時着。自販機の120円のラテ。上司からの頼まれごと。外で待ってると身体がしんしんと冷えていく。気を紛らわせたくて、震えながらタチのプレイタイム観る。1時間見たところで指の感覚が無くなって、近くの喫茶へ。正座してモーニング。父方の祖母にはじめて手紙書く。待ち人なかなか来ず。映画が終わったので店を出る。昼の日差しになっても雪が降っていて、近所をぶらついてるとその人は来る。荷物を渡して、お使い完了。午後、女の子とご飯を食べる約束。解散して着替えて、バイト先へ、夜まで。深夜、遊んで踊る約束。アルコール。ずっと目をつぶっていたような気がする。いつ帰ったか記憶にないけど、目が覚めたら自分のまくら。両隣にともだちの寝息。朝。

_

"あのころはいつもお祭りだった。家を出て通りを横切れば、もう夢中になれたし、何もかも美しくて、とくに夜はそうだったから、死ぬほど疲れて帰ってきてもまだ何か起こらないかしら、火事にでもならないかしら、家に赤ん坊でも生まれないかと願っていた。"(美しい夏/パウェーゼ)