遠浅

平野明

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

山の座標

本は人の成長を待ってくれるけれど、舞台は成長を待ってはくれない。いつもいまの自分でしか見れない。いまの体調、いまの立場、いまの知識、いまの持ち物、いまの見方、つねにいましかないという意味で、出会いそのものみたいだと思う。なんでいまの自分が…

お天気写真

お気に入りの駅をみつけた。ホームの柱がぽてっとすべすべしていて、待合室も懐かしく、どんな天気の光でも似合いそう。 てくてく。 てくてく。京都はどこ歩いてても、空と地上のやりとりに夢中になれる。 また駅。 ちゃり。 うまく撮れない!肉眼ではすごく…

つかえない

わたしたちは「好き」という言葉を持ちながらそれを決して行使できない世界にいる

バス

あなたは二日酔いのまま、島でひとつしかない婦人科を探してバスに乗った。病院で高い薬を出してもらって水と一緒に飲んだ。毒だと思ったらあなたは少し安心した。何かのきっかけで女医さんに話し始めたら止まらなくて、心臓がバクバクして椅子から落っこち…

あの転校生

親の転勤、転勤、転勤で、別れのあいさつと初めましてのあいさつなどお手のものだ。県内の移動ではあるものの、漁港から山へ、田舎から町へ、南から北へと、転園しまたは転校し、どこにも根付くことなく、ただ出会いだけを増やして大人になった。幼なじみは…