遠浅

平野明

2024-01-01から1年間の記事一覧

撮影日1968年

(これは京都のあるクラブで) 1967年にジャン・ジュネが日本に来ていたことは知っていた。恋人(ベンダガ)が自殺し、深い抑鬱状態だったジュネに、日本への旅路を勧めたのはヒサコだった。ジュネを乗せた飛行機は、同年12月22日にフランクフルトを出発する…

わたしのフェミニズム・ノート

ジュリアン・バーンズの紹介でアニータ・ブルックナーを知り、彼女の紹介でコレットを知り、そのまた紹介でボーヴォワールに流れ着いた。フェミニズム、もっと勉強したい。ボーヴォワールの「第二の性」の合間に「上野先生、フェミニズムについてゼロから教…

3月

生まれて初めて私は、塩や海藻や、波が引いたあとの湿って匂いを放つ砂地、ぬれてきらめく魚を楽しみ、手で触れた。海辺の気候が、私のなかの、長い苦しみの思い出と、考える習慣を眠り込ませ、緩慢にしていた。(私の修業時代/コレット)

親指Pの修行時代/松浦理英子

“無邪気で平凡な女子大生、一実。眠りから目覚めると彼女の右足の親指はペニスになっていた。”(河出書房HPより) 30年前の松浦理英子のベストセラーである。1995年の読者は何を思っただろう。ちょうど戦後50年、インターネットも未発達で、わたしはまだ生ま…

私の修行時代/コレット/佐藤実枝訳

63歳のコレットがかつての下積みの時代……20歳で結婚し33歳で離婚するまでの13年の時間を再訪する。修行時代、コレットに言わせればそれは「自分は自分でしかなく、つまり心優しいひとりの若い女でしかなくて、匿名の仕事にも、服従の生活にも誇りを持てずに…

モロッコ流謫/四方田犬彦

文章にジュネを探してしまうけど、モロッコに縁のある作家をばーっと読めてかなりおもしろかった。ポール・ボウルズのパートナー、ジェイン・ボウルズが破天荒な女すぎていい。読みながら何冊か本を買ったり借りたりした。文章上手。いい読書ができた。 エル…

一神教と聖典

三大一神教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)につながりが見えるとおもしろい。わかる範囲でまとめてみる。 ○3つの聖典三大一神教にはそれぞれ聖典がある。聖典とは、神による「啓示」が書かれているもので、旧約聖書→新約聖書→クルアーンの順番で成立…

女という生きもの

どうして生理の話は恥ずかしいのだろう? ドラッグストアでは紙袋を用意してくれるし、実家では生理や性の話はタブーだった。「生理バレ」に怯え、生理用品のハート柄にふるえ、このテーマの扱いの難しさ(不器用に寄り添ったり突き放したりする関係)は、す…

2月

これ、ぱーちゃんが編んでくれた巾着なんだけど上手じゃない? 突然はじまる編み物教室。わたしは紐通すところでギブアップして、編みかけの巾着は本棚に差してしまいました。ということで2月は編み物。(ウソでも一度は編んだもん。) 街灯にとまってたり、…

中東戦争を読む

4回の中東戦争とレバノン内戦をまとめたい。 ○1948年 第一次中東戦争(別名:パレスチナ戦争。イスラエルでは「独立運動」。アラブ側では「ナクバ(=大災害)」)・交戦国イスラエルとアラブ諸国(エジプト・シリア・イラク・レバノン・ヨルダン)・きっか…

作品はだれのもの

人と作品を作るのが大変なのは、作品の主体がいつも観客にあるからだ。作品は演出家のものでも俳優のものでもない。観客のものだ。だから観客の目を持った演出には人間味がない。自分の目ですら捨て、人間ではないものに全身でなっている。俳優の都合を考え…

感情教育/中山可穂

女2人の前史を語る文章の低体温さが好きだ。恋に落ちてからは、文章が熱さにふるえて溶けていきそうだった。小説の内容とは文章が示すものなのに、読みすすめるうちに内容が文章を造形しはじめる。床に打ちつけられたスーパーボールはいつまでだって見てい…

seven jewish children/Caryl Churchillを読む

キャリル・チャーチルの「ユダヤの7人の子どもたち」の戯曲は、2008年から2009年にかけてイスラエル軍がガザ地区を攻撃したことを受けて書かれた。この舞台に7人の子どもたちは登場しない。ユダヤ人の大人たちが、子どもに何を言うべきか/言わないべきか…

1月の気分

パートナーは大のファッション好きです。色々着させてもらううちに、もうちょっと知りたくなった気がする。1月の気分(=ファッション)は2本のマフラー。いただいた大事なもので、しかもカシスとブルーベリーな色、2色あるのがかわいい。 おしゃれな人っ…

日々Shazam

まるで友だちみたいに小袋くん小袋くん呼んでるNariaki Obukuroの紹介してくれる音楽が全部いい。Spotify上にFlip Side Planet(j-wave)で流した音楽リストを公開してくれていて、毎日恩恵を受けています。知らないアーティストと出会えるし、知ってるアーテ…

記録2024

【本】0113 キリスト教の核心をよむ/山本芳久0113 霊に憑かれた女/ジュリアン・バーンズ0118 怒り(上)/吉田修一0119 怒り(下)/吉田修一(一気読み)0125 パレード/吉田修一0203 東京湾景/吉田修一(最高)0203 余録の人生/深沢七郎0209 となりの…