遠浅

平野明

モロッコ流謫/四方田犬彦

文章にジュネを探してしまうけど、モロッコに縁のある作家をばーっと読めてかなりおもしろかった。ポール・ボウルズのパートナー、ジェイン・ボウルズが破天荒な女すぎていい。読みながら何冊か本を買ったり借りたりした。文章上手。いい読書ができた。

エル・カトラニはジュネの死後、鬱々とした日々を過ごしていたようである。ジュネをめぐる学会が南モロッコで行われると聞いて汽車に乗り込んだものの、悲しみのあまりに家まで引き返してくるといったことがあり、やがて交通事故で不帰の客となってしまった。ジュネに昔買ってもらった車に乗って、深夜に樹木に衝突してしまったのだ。ジュネが死んでほぼ1年後のできごとだった。