遠浅

平野明

性格が悪くなりそう

10時から劇場にて機材メンテナンス。ソースフォー可愛い。夕方終わる。解散後、ひとりで階段から落ちて、床にへばったまま起きれなくなる。先輩方が病院へ連れてってくださる。薄緑のカーテン。右足首の靭帯が切れてて、しばらく松葉杖生活だと言われる。完治3週間、明日また来るように。家に帰って、しばしぼーぜんとする。先輩に電話。店長が訪ねてきてくださる。りんごやお水。だめだと言われたお風呂に浸かり、年末年始の予定という予定を思い出して絶望する。布団に潜っても、全然眠れない。足首が、小さい龍がいるみたいに熱い。

 

次の日。目が覚めると、足首がありえんほど腫れてる。着替えて外に出ると、自分が横断歩道にいる蟻ぐらいに思える。松葉づえを使いこなせなくてトロトロとしか進めず、道の真ん中で支えを全て投げ出して、そのまま消えてしまいたい気持ち。松葉づえ使ってると、性格が悪くなりそう。こうしたいのに全然できない。出来ない自分が許せなくて、ヒクツになって、差し伸べられたやさしさを傷つけてしまいそうになる。それから、包帯に巻かれた『いかにも』な足と、松葉杖が視界に入るのが本当に良くない。なんだか病人モードになりそう。不幸で、上目遣いな、病人という役を引き受けてしまいそうになる。いや、ただ足首の靭帯切っただけだしな。

診察終わり、本屋へ。年末を越すだけの本を買い込む。イライラしてて、橋本治の本を、見つけられるだけ見つけて全部買う。めちゃくちゃ怒ってたから、だれかに一緒に怒って欲しかった。(花咲く乙女たちのキンピラゴボウ後編を見つける。)家帰って、部屋の片付け。バイトの女の子がお見舞いに来てくれる。ありがとう。夜、上司が来てくださる。12月いろいろの報告。とてもお疲れの様子。

コーヒー淹れる。本読んで寝る。